« 敗戦からあけて | トップページ | 合宿も終わって »

「無題」

今はこうやってブログをやっていますが、

もともとは夏休みの絵日記もぎりぎりに書くタイプで

本当はブロガー向きじゃないんです。

でも思い起こすと、学生時代に似たようなことはしていた。

中学時代に吹奏楽部だった僕は

札幌地区大会に向かうところから日記風の漫画を書き始めた。

そのタイトルは「無題」。

 

そのキッカケとなったのが「恋」だった。

 

相手は同じ西宮出身の子で書記局長。

 

それも、西宮時代となりに住んでたヤコ(クラスメートの女の子)が市内の高台に引越し、

その引越し先の中学校から入れ替わりに札幌に越してきたのがカノジョだった。

ふしぎなトライアングルが解明されるのは、音楽準備室。

八軒中から平中に転校してきたばかりの僕はすぐに吹奏楽部に入り、

そして音楽準備室にいりびたっていた。

その時代はまだ学生帽が生きていて、

僕は兄貴のおさがりをかぶっていた。

そしてその帽子には西宮のメーカー名が書いてあったのだ。

 

地区大会がせまるなか、ますます音準にいりびたる僕。

そして他の部員たち。

そして、目ざとく彼女に西宮の文字を見つけられた僕の帽子。

後輩の一年生にもいぢられるくらい背の低く、子供っぽい僕の

恋心がそこから始まった。

 

どうにも、日々を記録して一日中でも見ていないと落ち着かない。

だから漫画にし始めた。

彼女が僕の帽子を気に入って、それをかぶるのを描くのは当たり前。

ある日の彼女は、僕の学生服を着て写真に納まった。

クラスの連中にそそのかされ、僕は書記局員にされたが、

部活以外でも彼女と時間を共有できることにまんざらでもなかった。

僕は彼女の事を局長と呼んだ。

 

ところが、やがて僕は無題を描けなくなった。

自分が恋をしている事に気づいたからだ。

それまでは「無題」を書くたびに、クラスメートや部員やもちろん彼女にも見せていたのだが、

 

好きな気持ちに気づくと

 

それをさらけ出すことができない。

そのうち彼女にあうとドキドキするようになってしまい、

目を見ることができなくなってしまった。

でも、ガキな僕はそこで彼女に会う事ができないわけじゃない。

実は彼女不思議な名前の持ち主で、

その彼女、もしくは彼女の名前をモチーフにしたイラストを描いて

彼女にあげ続けた。

 

しかし、それも三年生になって部活を辞め、北大学力増進会に通うようになってからは

だんだんと疎遠になってしまった。

僕は兄貴の後を追って旭丘に入りたかった。

そして「無題」は封印された。

 

その後の入試で僕は藻岩に志望校を変え、また直前で月寒に変え、

そのまま月高生となった。

入試前の下見の時、見かけた保健の先生がカノジョに似ていたのは皮肉だった。

ちなみにカノジョは旭丘に入った。

南に行ってもおかしくなかったのに。

僕は月高という世界の中で、「無題」を描き始める。

だが、それは月高の仲間とカノジョが出てくる完全なフィクションで、

絵は上手くなったが、輝きのない、

そして最後にはそのフィクションに自分が踊らされ

ノート三冊目で未完で終わる事になる。

 

そして、やがて大人になってから、

僕のすべての思い出は形を失った。

だから、「無題」を読み返す事はできない。

ただ、演奏会の帰りに寄ったラーメン屋でカノジョが味噌、僕が塩で意見が割れた事。

僕の帽子をせがむときに

「見せて見せて、ちょさせて」とへたくそな北海道弁を使うとこ。

あの僕の詰襟を着ているときの姿。

そして、日本シリーズで僕がただ一人ブレーブスを応援しているのに、

僕より西宮が長いはずのカノジョがジャイアンツを応援していたあのとき。

カノジョがいつも吹いているサックスのリードを僕にくれた事。

「なんでドラムたたけないの」と叱咤してくれた事。

上級生が交際を迫る為にカノジョを呼び出す、その伝言役に僕がなってしまった時のこと、

全て僕の中では生きている。

 

 

 

そうしてあの恋していた時代と同じように、

今僕はブログを書いている。

もちろん、恋するお話ではない。

だが、おかげで時間の感覚が昔に戻ったようだ。

もう何年もブログを書き続けているような。

ついこの前まで、時間が年とともに加速度的に早くなる感覚だったのが、

急に毎日が2倍くらいに感じるようになり、

子供たちの事、奥さんの機嫌がすごく気になるようになってきた。 

もちろん、

タイラーニュートンのことも。

べべ君のことも。

 

家族と

バスケに

今、恋しているのかも知れない。

このブログは

だから僕の「無題」第三章なのかもしれない。

|

« 敗戦からあけて | トップページ | 合宿も終わって »

コメント

「淡い」・・・美しいなぁ。第1章・・。
そして第3章・・私も今バスケと家族に恋してるんだろうな・・(笑)

投稿: かよ | 2008.06.23 23:50

かよさん、
これ書いたあと、
恋?
愛じゃないの?
と自分でツッコミいれましたが。

投稿: はよし | 2008.06.24 08:20

やっぱり 恋じゃないかな…
だって 気になって 切なくて 会いたくて 考えるだけで嬉しくて 泣きたくなるような 甘酸っぱいような…
恋でしょう?

投稿: ma-ru | 2008.06.24 12:36

なんだか・・・いいですね~。
でも・・・細かく覚えていますね。。。
それほど 思い出に残ってるんですね。
はよしさんの出た中学・・・家の旦那と同じかも・・
でも うちの方が年上ですが・・。ちゅー年の早生まれなので。。

投稿: toshie | 2008.06.24 12:43

ma-ruさん、
やっぱ恋か。
う~ん、恋だよな~。

投稿: はよし | 2008.06.24 13:20

toshieさん、
中学二年の二学期から三年になるまで、
ものすごく濃密な時間を過ごしていたんですよ。
 
ところで、
パフって足伸ばして寝るんですね。

投稿: はよし | 2008.06.24 13:23

いぢらしい・・・

そして、何より気になったのが平中って平岸中のコトですか~?
違ってたらゴメンなさい!!
私は陵陽中だったので、ご近所に住んでたのかな~?と思いまして・・・

投稿: 緑雪 | 2008.06.24 22:33

緑雪さん、
平中=平岸中です。
増進会は平岸書店の二階で、半分は陵陽中でしたよ。
僕の家は霊園の西岡側で、一番近いのは澄川中でしたが、10mほど豊平区だったので、平岸中でした。
陵陽中近辺、羊が丘通り沿いはなんも変わってないけど、
環状線沿いは少しずつ変わってきてますね。

投稿: はよし | 2008.06.24 22:56

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/196156/41590548

この記事へのトラックバック一覧です: 「無題」:

« 敗戦からあけて | トップページ | 合宿も終わって »